はじめに
森ビルのGDは、総合デベロッパーの中でも最も特徴的な選考の一つです。
6~8名という比較的多い人数が対面で一つグループに集められ、通過者はわずか1~2名のみとされています。
まさに森ビルの鬼門とも言えるGDですが、通過難易度が高いからこそ対策できる要素が非常に多く存在します。今回は、実際のお題・参加者の体験談・内定者のアドバイスをもとに、森ビルGDを体系的に解説します。
※本コラムの情報はいずれも28卒以前の情報をもとに作成しています。年度によって変更される場合もございますのでご注意ください。
森ビルGDの基本概要
まずは選考概要から整理します。

選考にあたって抑えておくべき最大の特徴は、以下の3点です。
➀ グループワークの前に個人ごとの資料読み込み時間が存在
議論を始める前に、各自で配布資料を読み込み、情報を整理する時間が設けられています。選考は対面で実施されるため、その場で資料の要点や論点を捉え、自分なりの考えを準備しなければなりません。議論が始まってから考えるのではなく、読み込み段階で「何が重要か」「何を議論すべきか」を整理しておく必要があります。
➁ 発表・質疑応答・役割分担が一切存在しない
一般的なGDでは、最後に発表を行い、司会や書記、タイムキーパーなどの役割を決めることがあります。しかし、この選考では発表や質疑応答がなく、形式的な役割分担も求められません。誰がどの役割を担ったかではなく、議論の中でどのような発言をし、周囲にどのような影響を与えたかが直接見られます。
➂ 8名のうち僅か1~2名のみ通過できる高倍率
1グループ8名程度で議論を行いますが、通過できるのはわずか1~2名とされています。単に発言量が多い、議論を進行した、結論をまとめたというだけでは、通過にはつながりません。限られた発言機会の中で、議論の質をどれだけ高められたかという、明確な付加価値が求められます。
評価されるのは「結論」ではなく「議論のプロセス」
この選考には、発表も成果物もなく、役割による分かりやすいアピール機会もありません。 つまり、評価対象となるのは、最終的にどのような結論を出したかではなく、その結論に至るまでにどのように考え、発言し、他者の意見を受け止め、議論を前進させたかです。
最初に自らの考えを整理する分、その意見をどのように周囲と合意まで運ぶかが重要になります。発言数や司会役を担うことにこだわるのではなく、論点を整理する、意見の背景を掘り下げる、対立する主張を接続するなど、議論の質を高める動きが重要です。 このGDでは、まさに議論への向き合い方と、そのプロセスそのものが見られていると考える必要があります。
実際のお題
森ビルでは数年にわたって何度も同じテーマが使用されており、例年通りであれば事前に問題を知った状態で選考に参加することができます。
■ お題
テーマは
企業の担当者として、新しい虫よけスプレー案をチームで一つ決めてください。新商品の中から最適な商品を一つ選択せよ
というものです。
最大の特徴は、デベロッパーの事業とは殆ど全く関係のないお題である点です。
主体となる企業は、虫除け・芳香剤などを販売する中堅メーカー。
以下のような詳細な情報を元に、商品候補から一つを選定します。
(実際の資料やすべての情報は記載することができませんが、どのお湯な情報が記載されていたかの概要です。)
■ 与えられる情報
お題と合わせて以下の参考資料が与えられます。資料内容はかなり多く、定量的な情報もあるため、必要な情報のみ素早く整理しておくことが大切です。
・会社概要
・市場データ
・売上状況
・顧客データ
・商品候補4つ
・価格
・容量
・ディート量
・使用シーン
■ 商品候補
お題の肝となる以下の商品候補も合わせて与えられます。
それぞれ、 ❶価格 ➋安全性 ➌持続性 ➍ターゲットが異なる情報が記載されています。
A: ロールタイプ
B: シートタイプ
C: ローション
D: スプレー
一般的なケースでは、与えられた資料から一つの論理的な回答を導くことが求められます。
しかし、森ビルのGDでは資料を踏まえた周囲との合意形成が主軸となりますので、一つの回答について検討するだけではなく、自分の選択した商品候補以外の選択理由や検討すべき観点についても網羅的に想像しておくことが大切です。
当日の流れ
森ビルGD選考は、当日の流れが非常に特殊です。
今回は、対面GDを想定して当日の流れを説明いたします。
STEP① 受付
会場のビル下で待機。
前の回の受験者たちがお題について話していることがあり、GDテーマについてのネタバレが発生することがあります。時間になると受付を行い、広い会場に通されます。
STEP② 着席
会場では仕切りで区切られている指定された卓に案内され、コの字型で約8人の座席に自由に着席します。
この段階で問題は見えないが、既に机に意思表示するもの(4面に選択肢となる虫よけスプレーの候補が書かれている長方形)が置かれており、ざっくりとしたお題の雰囲気を掴むことができます。
その後、10分間ほど試験官の到着を待ちます。
STEP③ 資料読み込み(約10分)
試験官が到着後、それ以降の質問が禁止され、まずは10分間の個人ワークが開始されます。
問題を読んでまずは4つの選択肢から自分が支持する商品を決めます。
STEP④ GD開始
約40〜60分。
発表なし。
資料作成なし。
役割決めは禁止。
通過突破のための立ち回り
森ビルのGDでは、優れたアイデアを出すこと以上に、複数人の意見を整理し、根拠を持って議論を前へ進める力が重視されます。
特に、以下の4点を意識しましょう。
➊ 合意形成と論点整理を行う
森ビルGDの選考では、他の一般的なGDと比較して参加者が多くなっており、合意形成に時間を要することが考えられます。
一方、限られた選択肢が与えられるため、議論の基準をまとめやすいという特徴もあります。
そのため、常に一つの意見やアイデアを出すのではなく、全体を俯瞰して周囲の意見を整理したり、
「今なんの話をしているのか」「次に決めるべきことは何か」と議論を整理しながら進めていけるようにしましょう。
巷では「ファシリテーターを担うと通らない」などの情報が錯綜していますが、実際にそういった事実はありません。通過者10名へのインタビューでは、「グループの中で主に議論を進めた2名が順当に通過した」という声が多数確認されています。
※一方で、ファシリテーターを担う方が有利であるという事実も同様にありません
メンバーが8名いることも考慮し、周囲への気配りや発言量には気を付けながらも、常に議論が発散しすぎないようにしていきましょう。
➋ 判断基準を整理して案を比較する
内定者や通過者のコメントに共通するのは、商品そのものの魅力だけでなく、
•ターゲット
•需要
•収益性
•実現可能性
•森ビルが取り組む意義
といった複数の観点から案を比較していることです。
一つの案をすぐに押すのではなく、
「皆さんの意見をまとめると、ターゲットとの適合性、収益性、実現可能性の3点で比較するのが良いかもしれませんね」
と、評価軸を共有しましょう。
また、他者の意見やデータを踏まえて、自分の考えを修正する柔軟性も重要です。
意見を変えないことが一貫性ではありません。判断基準を保ちながら、より妥当な結論へ考えを更新できることが大切です。
➌ 配布資料を根拠に議論する
デ森ビルのGDでは、感覚や印象だけでなく、配布資料を使って議論する必要があります。
市場規模、顧客属性、価格、利用状況などのデータを確認し、
「資料上、この顧客層の市場規模が最も大きいため、この案が需要を獲得しやすいと考えます」
と、根拠を示して発言しましょう。
重要なのは、数字を紹介するだけでなく、その数字がターゲット、収益性、実現可能性にどのような影響を与えるのかまで説明することです。
参加者が多いほど、資料を十分に確認しないまま議論が進む可能性があります。前提の誤りに気づいた場合は、資料を根拠に冷静に修正しましょう。
➍ 議論を前進させる発言量を確保する
森ビルのGDで発言量が多ければ通るわけではないというのはここまでの内容でご理解いただけた部分かと思います。
一方で、8名の参加者から2名以下の通過者を選抜する選考であることを踏まえると、上位3名程度の発言量には入っていないと通過は難しくなります。
実際の内定者インタビューでも、ある程度議論に主体性をもって参加することが求められていました。
柔軟性をもって他人の意見を受け入れつつ、そもそもの評価対象に含まれる程度の発言量は担保しておきましょう。
■ 注意点
ここまで森ビルの選考について、概要やtipsを解説してきましたが、その他にも注意すべき点があります。
特に、会場に雑音が多い点には注意しましょう。
森ビルの対面GDでは、他グループも同じ会場で同時にGDをしています。
そのため
・聞こえない
・聞き返す
・議論が止まる
ということが頻繁に起こります。
単純なことにも聞こえますが、「大きな声で」話すことは必須です。
中には自然と会話の中で存在感を示すことが苦手な方もいるかもしれません。対面で比較的多い人数の中でも大きな声ではっきりと振る舞えるように練習しておきましょう。
結果通達までの期間
27卒サマーインターンでは、6月30日から7月2日の3日間でGDが開催されました。
結果通達日は、通過可否にかかわらず、7月6日月曜日15時頃。GD参加日からおよそ4日から1週間後での通達となっています。
非通過者には7月に限定イベントも案内されています。
※28卒情報。変更の可能性あり
まとめ
森ビルGDは、新商品を選ぶことが求められますが、評価されているのは「比較的多い人数との間で合意形成を推進する力」です。
発表も役割分担もないからこそ、評価されるのは「何を言ったか」以上に、「どう議論を設計し、周囲を巻き込み、前に進めたか」です。
周囲を広く見て存在感を示しつつ、充分な協調性をもって周囲をまとめる姿勢を見せましょう。