本稿の目的
本コラムでは、志望動機コラムでも解説した志望動機の必須構成要件を踏まえて、可変部分が森ビルにおいてどのように定義されるかを解説していきます
森ビルの志望動機には、「街づくりに携わりたい」「大規模開発を通じて社会にインパクトを与えたい」「人々の暮らしに長期的な価値を提供したい」といった内容が多く見られます。
しかし、これらの志望理由だけでは、ほかの総合デベロッパーにも当てはまり、数ある企業の中から森ビルを選ぶ必然性までは伝わりません。
森ビルならではの志望動機に仕上げるには、志望動機を構成する次の4つの観点を、同社固有の理念や事業、組織風土と結びつける必要があります。
⑴ 理念共感:森ビルが掲げる都市づくりの理念や価値観に、なぜ共感するのか
⑵ 環境共感:森ビルが持つ社風や働く環境、人に対して、なぜ共感するのか
2つの観点を一貫したストーリーとして組み立てることで、企業理解と自分らしさの両方が伝わる志望動機になります。
以下では、森ビル固有の情報を踏まえながら、志望動機に活用しやすい7つの軸を解説します。
志望動機を書く際は、本稿で紹介する7つの軸を活用して志望動機を作成してください。
実際の内定者の志望動機を参考にしたい方はこちら👇
本稿で紹介した軸を活用した実際の内定者の志望動機は以下のコラムで閲覧することができます。
森ビル 志望動機の軸 7選
森ビルの志望動機に活用できる志望動機の軸は以下の7つに集約されます。

7つの軸の使い方
志望動機に活用しやすい7つの軸をひとつずつ解説していきます。
■ 理念共感 ➀「東京を世界一の都市へ」というビジョンに共感
1つ目は、世界中の企業や人材、文化、アイデアを引きつけ、東京の国際競争力を高めたいという観点です。 森ビルで最も大々的に押し出されている理念のうちの一つであり、最もオーソドックスな志望動機の軸といえます。
なぜ森ビルの志望動機に有用なのか
森ビルは、新卒採用サイトにおいて「東京を世界一の都市へ」という採用メッセージを掲げています。

この理念は、森ビルが企業として目指す都市像そのものであり、実際に採用メッセージやトップメッセージ、社長メッセージでも、「東京を世界から選ばれる都市にする」という考えが一貫して語られています。
森ビルの「街づくり」を一言で解釈すれば、「世界中から企業・人材・文化・投資・イノベーションを惹きつける都市基盤をつくり、東京の発展を通して日本全体の国際競争力を高めること」です。
そのため、「東京を世界一の都市へ」という視点は、森ビルを志望する上で最も企業理解を示しやすい理念の一つといえます。
森ビルの理念や経営方針などの理解が十分に進んでいない方は、まず以下の業界研究コラムをご参照ください。
森ビル 企業研究 前編
森ビル
志望動機で使う際のポイント
「東京を世界一の都市にしたい」という言葉だけでは、スケールが大きすぎるため、面接官にとっては動機が見えにくくなります。
そのため、この軸では"なぜそのような価値観を持つようになったのか"という原体験を丁寧に説明することが重要です。
例えば、
・海外生活や留学を通じて、日本や東京の魅力・課題を実感した経験
・東京で育ち、森ビルの街を訪問したことで愛着やプライドを実感した経験
など、自身の経験と結び付けることで説得力が大きく高まります。
また、「世界一の都市」といっても、その意味は人によって異なります。
十分な企業理解の姿勢を示すため、森ビルの価値観や取り組みを踏まえながら、自分なりの定義を提示しましょう。
特に、後述する具体的な軸(森ビルが実際に取り組む「Green & Wellness」や「国際競争力の向上」「イノベーション創出」)を結び付けた以下のような点に言及することで、企業理解の深さを示すことができます。
・世界中の企業や人材が集まり、新たなイノベーションが生まれる都市
・緑・文化・ウェルネスが共存し、人々が豊かに暮らせる都市
・世界中から「住みたい・働きたい・訪れたい」と選ばれる都市
・街同士が有機的につながり、総合力を発揮する都市
■ 理念共感 ➁ 「都市を創り、育む」という街開発の理念に共感
2つ目は、森ビルが他社に対する差別化要素として頻繁に用いる「都市を創り、都市を育む」という街開発の方針です。 建物を完成させることをゴールとせず、開業後も街の当事者として関わり、利用者や地域とともに価値を高め続けたいという企業思想を指しています。
なぜ森ビルの志望動機に有用なのか
森ビルは採用トップメッセージでも、ディベロップメントからタウンマネジメントまでを一気通貫で行える組織、技術、経験を、自社の大きな強みとして挙げています。
理念共感 ① 「東京を世界一の都市へ」と並んで代表メッセージにも掲載されており、最重要の経営方針と言えるでしょう。
新しい街の誕生を終点ではなく出発点として捉え、「都市は完成したときがはじまり」とする考え方は志望動機を作成するにあたっても非常に有用な軸です。

志望動機で使う際のポイント
この軸を引用する場合、森ビル公式もしくは森ビル社員が繰り返し表現する以下のようなキーワード・キーセンテンスの活用が有効です。
・街を創るだけでなく、時間をかけて育む。
・街が出来上がった後も、街に集う人々とともに街を育みつづけています。それこそが『森ビルらしさ』であり、私たちの強みです。
・「都市づくりを担う者には都市や社会の未来に対する大きな責任があります。」
・「都市を創ることは、街を創るだけでなく、人々の未来に責任を持つことだ」
・「街を創った後も、これからの都市はどうあるべきかを問いつづける。」
・「本当の意味での街づくりは、開業してからがスタート。」
・「街の鮮度は開業時がピークだったとしても、人々との絆は深めていくことができる。」
ただし、上記の思想に共感する原体験・背景にある価値観にも言及しつつ、森ビルの「育てる街開発」を実感した事例も引用する必要があります。
実際、六本木ヒルズでは、開業後に自治会を中心とした地域活動、季節イベント、稲作、清掃活動、トークイベントなどを展開しており、延べ170回、参加者約2万人に及ぶイベントを周期開催しているなど、コミュニティ形成や機能更新によって街の磁力を継続的に高めてきたという強みがあります。
街歩き・OB訪問・社員インタビューなどを通して、実際のイベントに足を運んだり、裏話を得た実例を交えたりしながら共感した背景を説明しましょう。
■ 理念共感 ➂ 「立体緑園都市」構想への共感・Green & Wellness
3つ目は、都市機能を高度に集約しながら、地上に緑や広場、人々が交流できる余白を生み出すことで、自然と都市が共生し、人々が心身ともに豊かに暮らせる街をつくりたいという軸です。
なぜ森ビルの志望動機に有用なのか
森ビルは、「Vertical Garden City―立体緑園都市」を独自の都市開発手法として掲げています。細分化された土地をまとめ、建物を集約・高層化することで地上に大きなオープンスペースを生み出し、そこに緑や広場を整備するという考え方です。※詳細は業界研究コラムを参照
森ビルが描く都市の理想像が明確に示された数少ない独自表現の一つであり、 最新の開発である麻布台ヒルズを「Green & Wellness」を街全体で実現したプロジェクトと位置付けています。
森ビルが描く東京の未来像が具体化された一つのキーワードとして活用しましょう。

志望動機で使う際のポイント
「緑が多い街が好き」「自然に囲まれた空間をつくりたい」という言葉だけでは、他のデベロッパーの街開発にも該当するため、森ビルを志望する理由としては不十分です。
そのため、この軸では、単に緑への関心を語るのではなく、
➀なぜ都市の中に緑やオープンスペースが必要だと考えるようになったのか
➁なぜ森ビルの開発に他社とは異なる自然・緑の魅力を感じたのか
という二点を丁寧に説明することが重要です。
➀については、
・海外や国内都市部での生活を通じて、都市部における公園や広場が人々の心のゆとりや交流を生み出していると実感した経験
・スポーツや健康に関する活動を通じて、日常的に体を動かしたくなる環境の重要性を実感した経験
・地域活動やイベント運営を通じて、広場や緑地が人と人のつながりを生み出すことを体感した経験
・猛暑や災害、環境問題に触れ、持続可能で安全な都市空間の必要性を感じた経験
など、自身の経験と結び付けることで説得力が大きく高まります。
また、➁を提示する際、「Green & Wellnessに共感する」という言葉だけでは、具体的にどのような街を実現したいのかが伝わりません。
公式サイトでは、立体緑園都市について、以下のような点が一般的な高層化・緑地化との相違点であると説明しています。
・単なる高層化ではなく、多様な都市機能を立体的に組み込みながら、自然と共生する都市環境を実現する手法だと説明しています。
・ 森ビルはコンパクトシティについて、異なる用途を複合することでエネルギー需要を平準化し、地域全体でのエネルギー制御や再生可能エネルギーの導入を進められると説明しています。緑だけでなく、都市構造やエネルギーまで含めて環境問題に向き合っている点が特徴です。
・都心にありながら圧倒的な緑があふれる都市。ヒルズでは公園や広場を中心に、生物多様性にも配慮した環境共生型の都市を実現してきました。都市の空間を活用することで、周辺部や郊外の自然を残すこともできるはずです。
・ 垂直方向に都市機能を集約すれば、通勤などの移動時間は減り、自由に使える時間が増えます。日々のゆとりやライフスタイルの選択肢も多くなります。徒歩で暮らせる街は、子供や高齢者も暮らしやすいはず。車椅子やベビーカーも安全かつ快適に移動できます。
業界研究コラムを参考にしながら、ご自身なりの「立体緑地都市」解釈を作成することが大切です。
■ 理念共感 ➃ 「働く・住む・遊ぶ・憩う」が融合する多機能都市に共感
理念に対する共感を示す最後の候補は、森ビルが提唱する「多機能都市」への共感。
住宅、オフィス、商業、文化、教育、医療、緑などを複合し、異なる人や企業の交流から新しい価値を生み出したいという軸です。
なぜ森ビルの志望動機に有用なのか
森ビルは、都市の本質はそこで生きる人々にあるという考えのもと、多彩な都市機能を徒歩圏内に集めた「コンパクトシティ」を理想の都市像として掲げています。公式サイトでは、住む、働く、学ぶ、遊ぶ、交流する、憩うといった機能を複合することで、人の営みが有機的につながり、多様な人々の交流、協働、創発の機会が増えると説明しています。
※立体緑園都市と若干の概念被りがありますが、立体緑園都市はより緑地化に焦点を当てており、多機能都市はよりオフィスから住宅、商業施設の統合に焦点を当てています。
この観点は、国内屈指のオフィス街でありながら殆ど巨大住宅街を有していない「丸の内」「日本橋」「渋谷」「新宿」といった他社の開発事例と街歩きの体験を活用して差別化しやすい点で有用と言えるでしょう。
志望動機で使う際のポイント
ポイントは以下の二点です。
➀「複合施設をつくりたい」で終わらせず、何と何を掛け合わせ、誰のどのような行動を生み出したいのかまで示す
➁ 実際にヒルズを訪問し、消費者としてどのように感じたかを示す
➀については、次のように具体化できます。
オフィスと文化施設をつなぎ、働く人が日常的に新しい価値観に触れられる街をつくりたい
大企業とスタートアップが出会い、東京から新規事業が生まれる環境をつくりたい
住宅、教育施設、広場をつなぎ、世代を超えた交流が生まれる街をつくりたい
学部横断プロジェクトや、異なる専門性を持つ人との協働など、複数の人や要素を組み合わせて成果を生んだ経験と相性がよい軸です。
➁については、実際にヒルズシリーズを訪問し、「多機能都市」の魅力を語ることがオススメです。
森ビルが開発するヒルズシリーズには、世界屈指の企業が籍を置くオフィス群であると同時に、ヒルズレジデンスや映画館・美術館といったさまざまな商業施設まで一括で統合しており、他社のオフィス街開発とは一線を画しています。職・住・遊・学のシームレスな融合が実現された都市を自ら歩いて回り、感じたことを言語化しましょう。
さて、ここからは森ビルの理念に対する共感ではなく、森ビルの環境 (=社風 and 人)への共感を軸として用いる場合の有用軸をご紹介いたします。
■ 環境共感 ❶ 社員の未来志向:社員一人ひとりが街へのビジョンを持っている
まずご紹介するのは、森ビルの社風「未来志向」への共感です。
なぜ森ビルの志望動機に有用なのか
森ビルの公式HPでは、一貫して「都市の未来」というキーワードが登場します。
新卒採用ページにおいても、森ビルの仕事は「街づくり」ではなく「都市の未来づくり」であると定義されており、社風への共感を示す上で重要な要素です。

社員インタビューでも、「”未来”を創るアイテム」が紹介されるなど、企業全体として未来を描く風土が前面に押し出されています。
志望動機で使う際のポイント
この軸では、次の3点を整理して伝えることが重要です。
① 自分が実現したい都市の未来
まず、「将来どのような街をつくりたいのか」を具体的に示します。我々自身にも街の未来に対するビジョンがなくては共感を示すことができません。
未来像については、前述した理念共感から適切な候補を選択し、森ビル社員と共有できるものを構築しましょう。
② その都市像を持つようになった原体験
次に、なぜその未来を実現したいと考えたのかを、自身の経験と結び付けます。
留学、地域活動、建築・都市計画の学習、通学や通勤などの経験が活用できます。
③ 森ビルの環境との接続
最後に、社員一人ひとりが街へのビジョンを持ち、長期的に実現を目指す森ビルの環境だからこそ、自分の構想を形にできると伝えます。
単に「自分の描く未来の提示」で終わらず、同じように未来を描くデベロッパーである森ビルでこそ、自分も主体的に都市の未来を描くことができるという姿勢まで示すことが最も重要です。
■ 環境共感 ❷ 街づくりの哲学:街づくりは人づくり・地権者との粘り強い協力
続いては、建物や事業性だけでなく、地域の人々との信頼関係を起点に街づくりを進める森ビルの姿勢への共感です。
なぜ森ビルの志望動機に有用なのか
この軸が志望動機に有効なのは、地権者との信頼関係が、森ビルの再開発を実現するための前提であり、同社の競争力そのものだからです。
森ビルが手掛ける都心の大規模再開発では、土地や建物の権利が細かく分かれているため、企業の判断だけで事業を進めることはできません。一人ひとりの地権者から理解と合意を得て、街の将来像を共有して初めて、プロジェクトが動き出します。
実際に森ビルは、アークヒルズでは約100人、六本木ヒルズでは約400人、麻布台ヒルズでは約300人の権利者と対話を重ねてきました。六本木ヒルズには17年、麻布台ヒルズには30年以上を要しており、粘り強い合意形成が同社の街づくりの中核にあることが分かります。
志望動機で使う際のポイント
この軸では、次の2点を整理して伝えることが重要です。
① 信頼関係を築くことを大切にしている価値観の提示
立場や考え方の異なる人と対話を重ね、信頼を得ることをどのように大切にしてきたかを示しましょう。
➁ 森ビルの環境との接続
地権者の人生や街への想いに長期間向き合い、関係者とともに街をつくる森ビルだからこそ、自身の傾聴力や粘り強さを生かせると結び付けることも必須です。
単に「多くの人を巻き込んで働きたい」で終わらず、異なる意見を持つ人にも誠実に向き合い、長期的な信頼を築きたいという姿勢を示すことがポイントです。
■ 環境共感 ➌ 長期経営・開発:非上場だからこその長期的な街づくり
最後に、森ビル特有の強み・街開発の特徴を適切に活用した軸をご紹介します。
なぜ森ビルの志望動機に有用なのか
森ビルは、非上場企業故の長期的な視点を武器として、他社には再現できない街開発を推進してきました。
森ビルがこれまで行ってきた都心の大規模再開発では、地権者との合意形成だけでも長い年月を要してきました。実際に、六本木ヒルズは構想から開業まで約17年、麻布台ヒルズは約35年をかけて実現されました。
中でも、非上場という経営基盤は、短期的な市場評価に過度に左右されず、50年、100年先に必要とされる街の価値を追求する姿勢を支えています。
そのため、目先の成果だけではなく、長期にわたって社会に残る価値をつくりたいという考えは、森ビルの経営思想や事業の進め方と結び付けやすい志望動機になります。
志望動機で使う際のポイント
この軸では、次の3点を整理して伝えることが重要です。
① 長期的な視点を持って取り組んだ経験
短期的な成果を求めず、将来を見据えて組織、仕組み、人間関係などを育てた経験を示します。
② 将来に残したい街の価値
「長期的に街づくりに関わりたい」だけでなく、文化、緑、コミュニティなど、何を将来に残したいのかを具体化します。
③ 森ビルの事業との接続
数十年かけて街をつくり、完成後も保有・運営しながら価値を育てる森ビルだからこそ、自身も街の未来に長く責任を持ちたいと結び付けます。
単に「非上場だから自由度が高い」と語るのではなく、環境共感 ❷と紐づけて地権者や関係者と信頼関係を築き、共に街を発展させていく姿勢に共感していると示すことがポイントです。
■ さいごに
森ビルの志望動機における理念への共感軸の活用場面は、「街づくりに携わりたい」という結論だけでなく、どのような都市を実現したいのかを明確にすることが重要です。
そのうえで、多機能複合型のコンパクトシティや、開発後も街を育てるタウンマネジメントなど、森ビルならではの手法を組み合わせましょう。
また、企業の理念だけでなく、社風や社員の印象など、ミクロな視点にも着目して構成することで、更に強固な論理構成を担保することができます。
森ビルの理念や社風、事業観点における強みは以下のコラムで解説しています。
本コラムに登場した理念や強みの背景を深い部分まで考察しておりますので、是非ご覧ください。
森ビル 企業研究 前編
森ビル
森ビル 企業研究 後編
森ビル
森ビルの面接では論理的な脆弱性を残す部分について非常に厳しく確認されるケースも少なくありません。デベロッパーとしての森ビルではなく、”森ビル”そのものへの高い志望度も他社と比較して強く求められます。基本的な志望動機構成を意識しつつ、森ビルでしか果たせないこと・得られない環境を自分なりに言語化してみてください。